施主の思い出が詰まった
古蔵の古材をリビングに活用。

玄関の左にある背の高い白壁が、プライベート空間である棟と玄関右手のリビング棟の空間を上手く遮ってくれる。これはかつて日本家屋が並ぶ街並みで連接している家屋の境目に屋根より一段と高くこしらえた防護壁「うだつ」を現代風に再現したもの。元々「うだつ」は防火のための役割で取り付けられたが、やがて装飾を施すようになり、「うだつが上がらない」という言葉にもあるとおり、家の格式の高さの象徴となったとされる。リビング棟はかつての住まいで利用されていた古い梁を再利用。自然にカーブした松の梁が力強い印象を醸し出している。昔の名残を残すリビング棟と、新材で仕上げたプライベート棟それぞれの木の表情が楽しめる仕上がりとなっている。

建具から光りがこぼれる玄関。外灯が月のようにも見える。リビング棟には薪ストーブを設置。漆喰の白といきいきした新材、そして飴色の古材、3色のコンビネーションが空間にメリハリを与える。