WORK COLLECTION

作品集

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WORK COLLECTION : STORE

アキウ舎

  • 秋保:カフェ/レストラン/イベントスペース
  • 延床面積:247.86㎡
  • 設計:大角雄三設計室

160余年の歴史を融合再生した秋保の新拠点が誕生

秋保の魅力を発信する
心の拠り所として再生を決意
仙台市街から西へ車で30分ほど、磊々峡や秋保大滝など自然豊かな景観が広がる秋保地区は、仙台の奥座敷と称され古くから湯治客で賑わってきた。近年は秋保ヴィレッジや秋保ワイナリーなど新たなスポットもオープンし、1年中観光客が訪れる。
温泉街の東の玄関口からほど近く、2018年7月にオープンした「アキウ舎」。秋保ならではの魅力あるコンテンツを活かし、カフェレストランやサイクルツーリズム、各種体験イベントなどを行う観光交流施設だ。築160年余りの古民家を再生し、地元待望の交流拠点として美しく蘇った。
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アキウ舎を運営するのは株式会社アキウツーリズムファクトリー。代表の千葉大貴(ちば だいき)さんは「温泉街の活性化を目指す勉強会に、講師として招かれたことがきっかけでした」と話す。その後、地域住民の方々と話し合いを重ねていく中で、観光客と地域の交流拠点が必要だと確信。「この地区の名前から除(のぞき)屋敷と呼ばれている建物で、住民の皆さんの思い出話や残してほしいという切実な声を聞き、心の拠り所として再生する決断をしました」。人も住んでいなかった古民家の再生に動き出したのだ。

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古遊工房と大角雄三氏が再コラボレーション

古と新、和と洋が融合した空間に
受け継がれゆく大切なもの
「知り合いやいろいろな工務店に相談しても、建て直したほうが安いし早いと言われました。たまたま、居酒屋・玄孫のオーナー・石山靖さんが、中学時代の同級生の親戚だったことから、古遊工房さんを紹介していただき、設計も大角雄三さんにお願いしました」と千葉さん。こだわったのは和と洋の融合、古いものと新しいものとの融合だ。
「古い木は趣があり味わい深いが、強度に欠けることもある。新しい木は硬くて強いが、味わいに欠ける。それぞれの長所と欠点を補い合いながら世代交代していくのは、木も家も人も街も一緒です。ここは経年変化を楽しめる場所であり、さまざまな物語が生まれ、受け継がれる場所なんです」。
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ここで生まれるすべてを百年先の未来へ

地域に根ざして紡がれる
たくさんの物語を継承する場に
千葉さんはこうも語る。「これは、職人さんの世界も一緒なのではないでしょうか。今回の改修工事で、古遊工房の職人さんたちの熱心な仕事ぶりを見て、知恵や技も継承されているのだなと実感しました」。
「アキウ舎で町内会の飲み会も開催されるようになり、何かやろうよと声を掛けていただくことも増えました。建物自体、100年後も大丈夫と太鼓判をもらっています。100年先にも残るものを地域に根ざして作っていきたい」と千葉さんの表情はにこやかだ。今後もアキウ舎を舞台に、たくさんの物語が紡がれていくだろう。
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建具をはじめ、古民家にあったものはすべて利用し、再生させた。大きくて存在感のある神棚はホールの上部に据え、守り神のような存在に。新たに描いた「秋保温泉郷絵巻」は、使い込んだ仙台箪笥の上に飾るなど、古と新が引き立て合い、見事に融合している。

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